
Contradiction / 2024 WEB展示
ガラスは、一見形が定まったもののように見える。しかし、分子のレベルでは配列を時々刻々と変えながら絶えず振動しており、個体と液体との中間の物性を持つと言われている。
自由さと不自由さ。矛盾した性質を持つこの存在について考えていると、私たち人と似ていると感じるようになった。人も矛盾を抱える存在だ。自由を求めるが所属も望む。内向性と外向性。感情の鋭敏さと鈍感さ。矛盾した思いをひとつの心で掴みまとめながら私たちは生きている。
見た目には変わらなくとも、中身は状況や立場によって刻々と変化する。私はこうした両面性にむしろ本質的なものを感じる。
今回、私はガラスのコップをデジタルカメラで撮影し、その映像をOHPシートにプリント、最終的にサイアノタイプにするプロセスを試みた。実体があるものを0と1の実体がない状態にし、光と水に晒すことでまた実体に戻す過程は矛盾する両面を健やかに行き来する様が現れているように感じられた。
※画像はサイアノタイプ前の原画です
写真の声を聴く WEB写真展
※サイアノタイプ後の作品はこちら
https://www.ppschool.jp/shashin-no-koewokiku